原発事故に関連して

今回の地震に関連して生じた原発の問題。

情報が入ってこず、何が正しいのか、正しくないのか、
判断できなかったため、ここには記せなかったが、
また聞きしていた日本の原発で働いているフランス人からの情報が
かなり真実に近かったことが明らかになりつつある。
残念なことだ。
  
それとともに、日本人の一科学者としてもう一つ悔しいことがある。
なぜ、放射能管理の「基準」を変えるのか。
なし崩し的に管理基準閾値をどんどん上げていく。
「今までの基準は厳しすぎた」
なら、何のための基準なんだ。
非常時のことを考えて基準は作られているはずだ。
ダブルスタンダードはいけない。
そういったことを科学者がなぜしっかりとコメントできないのだ。
御用科学者としか見えないような態度はいかん。
   
原爆経験国として放射能に対して非常に管理が厳しかったはずだ。
仲間からも「日本人は放射能に関しては敏感だからね」と言われていた。
広島、長崎のことを多くの人が知っている。
原爆が広島と長崎に落とされて悲惨なことが起こったことは理解している。
ただ、彼らは被曝者の実際についてはあまり知らない。
だから、これをきっかけに「平和」の尊さの話もできた。
  
これが崩れた。
今は日本は「放射能に甘い国」と考えられはじめた。
煽動的、扇情的かもしれないが、こちらの方がより敏感だ。
他山の石だから、何とでも言えるのかもしれない。
    
被曝国から放射能汚染排出国へと認識が変化しつつある。
厳格、真面目といった日本人のペルソナがそれとともに剥がされようとしている。
確かに個々人と国は違う。
でも海外に居る者として、
自分たちのアイデンティティーを支えるものの一部が喪失していくのを目の当たりにして
悲しく思う。
本当に悲しい。
辛い。