クリスマス・プレゼント

大変なことになった。
夜中も右親指の痛みが辛くて、何度も目が覚める。腫れている。
しようがない。救急病院に行こう。
町は雪景色で車の通りも少ない。
朝9時半になり、病院に到着。
スムーズに看護師さんの問診を済ませ、受付の人が救急外来の中のboîte Nに案内する。
そこでもう一度看護師さんの問診。
「じゃあ、先生を呼んでくるね」と言われ、少し待っていると女医さんが登場。
診察をして、レ線を撮ることになる。予想通り。
技師さんを待つこと10分。レ線撮影室へ看護師さんが連れて行ってくれる。
4方向のレ線を撮影。
「一人で帰れる?」と技師さんが尋ね「大丈夫さ」と答える。
Boîte Nで待っていると、担当の女医さんが「骨は大丈夫です。靱帯の損傷だと思うけど、
指の事なので、専門の先生に診てもらった方がいいと思います。
今Natel(携帯)で呼び出したけど、今日はクリスマスの土曜日なので、
先生の到着はちょっとかかると思います。」
「どれくらいかかります?」
「1時間位かな。此処で待っていてくれていいけど、
コーヒーを飲みに行ったり新聞を買いにいったりしてもいいですよ。」
「分かりました。本を持ってきてるから、此処で読んで待っています。」
そう言い、漱石の「門」を読むことにする。
骨に異常がないというのはよかった。技師さんが読影してくれたそうだ。
待つこと1時間。
整形外科の手の専門家の女医さんが登場。
「これは酷く腫れてるわね。問題は親指のどちら側の靱帯が損傷しているかね」
といい診察。外側に決まっているが、大人しく診察を受ける。
「OK。ギプスをしましょう。親指を伸展させたまま動かさないのが一番の治療。
1週間~10日はギプスで親指~右前腕にかけて完全に固定。
その後で別の装具に替えましょう」
1週間~10日後はちょうどスイスにいないし、
最後の治療法の相談のところで彼女のフラ語が早口で、誤解していても困るので、
「英語で確認しますが、いいですか?」と答え、確認。
自分の解釈は間違っていなかった。
その上で相談。「簡単な装具という手もあるけど、ギプスの方が安全」と言われ、
「先生の言葉に従います」と言う。
その後別の看護師さんが処置室に連れて行ってくれ、ギプスを巻き始める。
「初めてなんだよね、ギプスをするの」と言ったらちょっと笑われた。
手際良く巻き始め、途中で先生が指と手首の角度をきちんと合わせに来た。
「指先の血行は大丈夫?腕は上げるようにしておいてね。
寝る時は枕の上に置いておくようにね。
小指側は紙だけだから、1週間後にそこから切り裂いて、別の装具に換えてね。
装具と痛みどめとかは薬局で受け取れるように処方箋を書いておくから。
丁度1月1日だわね。1年のスタートとしてはいいわね。
私は30日から1月17日まで休みだから、
年明けは別の先生に一度見てもらうことになるかもしれないわね。
でも私の診察でもいいわよ。了解?」
そう言われ処方箋と予約の電話番号をもらう。

トータル2時間半。かなりかかったが、みんな親切で丁寧で非常に感じが良かった。
フラ語で殆ど処理できたし、病院の敷居は低くなった。
看護師さん達と2人の先生と左手で握手をし、「良いクリスマスを!」と言って病院を後にする。
ギプスの為、やっぱり右手が不自由。
駅の薬局に行くが、装具がないという。週明けにSt-Françoisの薬局に行くように言われる。
帰りがけにCathedralに立ち寄る。
パイプオルガンの音が聞こえる。練習中だ。
昨日の夜ミサに行こうとしたが叶わなかったが、よく案内を見ると、今日5時からコンサートがあることが分かる。その練習だ。
音色を聞いているうちに行きたくなる。
ひとまず家に戻り、再度出直すことにする。
                
さてそろそろ行くとするか。