Howl's Moving Castle (ハウルの動く城)+ Tôt ou tard

冬になると思いだす曲の一つがこれ。

数年前の冬、雪の降る中Strasbourg市内にあるCD shopに立ち寄って
何の気なしに手に取ったのがGiovanni MirabassiのCD ”PRIMA O POI”。
イタリア語で「遅かれ早かれ(sooner or later; tôt ou tard)」
視聴しているうちに、5曲目のこの曲に巡り合う。
聞き覚えのあるような懐かしいメロディー。
氷点下の気温の冬の寒空の下、蠟燭にポッと淡い火が灯ったような、
そんな温かい感じがした。
ひっくり返しても、"Howl's Moving Castle"としか書いていない。
全然ピンとこなかった。
当然の如く買って帰って中のクレジットを見て、作曲者がJoe Hisaishiであると知る。
日本人だった。
だから自分の心の波長とシンクロしたんだと分かる。
右も左も分からず言葉でも仕事でも苦労していたフランス時代。
帰ろうと何度考えたことか。
その時に出会ったこのCD。
これでちょっと精神的に持ち直したと思う。
                 
未だに件の宮崎駿の作品も見ていない。
話によると作品の舞台となったのはStrasbourgを含むアルザス地方だったようで、
街並みとかが上手く描かれているらしい。
これも何かの偶然の悪戯だろうな。
            
基本的に、ちょっとバランスを崩しているような、
壊れたような人の演奏を好む傾向にあるが、そればかりでは疲れてしまう。
そういった時に聴くようなものかな。    
"Howl's Moving Castle"
"Tôt ou tard"
の2曲のGiovanniのピアノは本当に感傷的なもので好き。
後者はちょっと攻撃的にもみえるけど、実は凄く自省的、内省的。
何か殻を割りたいけど割れない、そんなもどかしいような感じ。
いろいろアプローチするんだけど、阻まれて出口が見つからない。
最後の最後にちょっと光が見える。
そこまでは本当に苦しい。そんな感じがするんだよな。
あと、多分僕だったらもっと全体的にレガートを無くすだろうな。
このCDではFlavio BoltroがTrompetteを吹いている"Symphomaniax"も好きだ。

このアルバムは自分の冬に欠かせない。
そういえばStrasbourgで彼のコンサートに行ったけど、
これらの曲を演ってくれなくて残念だったことを憶えている。