RBLDOJO 6回目

今日はバレースクールへの出稽古。
先週とちったが、今日は5時半から、と分かっているので大手を振って到着。
稽古前に着替えながらオリヴィエと話す。先週、オーディション会場で竹刀と防具を抱えて現れた自分が怪訝そうな顔で見られた失敗の話から、
「バレースクール入学オーディション前に、ダンサーと親御さんに剣道を見せなあかんな」と師匠。そこで、これ幸いと質問。
「何でバレースクールで剣道を教えてるん?」
「本当のところはモーリス・ベジャールしか分からんけど、僕が分かるのは次の点。
1) 今後バレーを続けていくにあたって、自分のやってきた事に固執してしまうか、新しいことに適応できるかって、とっても大切なこと。バレーでもモダン、クラシックなどなどいろいろあるやろ。新しいものも生まれてくる。それに適応できるかどうか。新しいテクニックに適応できるか。バレースクールに来ている学生っていろんなバックグラウンドを持っているやろ。でも、剣道をしていた生徒っておらへん。彼らが未知の剣道に如何に適応していくか、それを剣道から学ぶ。それが一つやなぁ。
2) 次に自分をどのように表現するか、ということかな。バレースクールでのいろんな学科って、基本的に自分を表現するということは教えへん。どちらかっていうと自分を殺し、綺麗な表現をすることを学ぶ。でもスクールを出て、ダンスカンパニーに入ったら状況は一変。自分を表現することばっかり。自分で考えて自己表現する。剣道では自分の感情、sensationを出すやろ。戦いの中で出していく感情は特に女の子にとっては今までの人生になかったことのはず。自分の感情を表に出すいい経験になるで。
3) 2)とも絡むけど、剣道では自分がまだまだ不完全であることを知っている。でも稽古や勝負の時にはその不完全な状況でも自分を出していかなあかん。バレーでは完璧な美を表現しようとする。でもやっぱりまだまだ不完全なところはいろいろある。不完全な自分を如何に表現するか、っていう練習やな。
4) 最後はテクニックの問題。バレーのテクニックってほんま複雑。それに比べると剣道のテクニックっていたってシンプル。シンプルなテクニックの組み合わせ、変形で成り立っている。複雑なバレーのテクニックを紐といてシンプルなものに置換、変形、融合させ練習していく。その補助になると思う。」
途中理解しにくいところもあり、こちらが間違った受け取り方をしているところもあると思うが、大筋ではあっているはず。
限られた時間でこういったことをさらさらっと言ってのけてしまう。以前稽古中の言葉で「気」の共通性を生徒に言っていたが、まだ深い話があったんだ。多分まだ他にも理由があるはず。モーリス・ベジャールが生きていたら彼にも直接理由を聞きたかったなぁ・・・。
これからしばらくの稽古は1時間半。短縮バージョン。基本動作の稽古からスタート。打突の不規則なリズム、初太刀での気の問題を繰り返し指導される。面をつけてからも今日は基本稽古が多い。切り返し、面打ち(grand et petit)、籠手‐面‐胴などの連続技など。
さらに「籠手‐面‐胴」の後、元立ちが籠手を打っていき刷り上げ面で応じる、という稽古も。掛の胴から元立ちの籠手打ちへの移行の理由をきちんと説明される。打突後の腕の位置の重要性を再認識。とは言え、刷り上げ面では状況に応じた位置、足さばきが必要となるが、あまりうまく間合いが取れなかった。抜き胴では振り抜こうと思わなくていい、と注意される。元が動いて来るので、それに合わせる程度で後は自然に抜ける、とのこと。
最後に数本の地稽古。相手に合わせた地稽古をするように以前に言われていたので、女の子相手の場合には半ば元立ちのような形で打たせるように意識を変えた。こちらは応じ技の稽古になるし。男の子相手の時にはこちらも積極的に攻める事を心がけた。
稽古後の挨拶でも再度、抜き胴の時の打ち方を指導された。防具を片付けている間、オリヴィエは普段と同じようにスタジオに残っている生徒に声をかけて話をする。その後僕のところに来て、「踏み込みの稽古をするのを忘れましたね、今からしましょう」、と。鏡を前にして膝の形、体重のかけ具合、腰の入れ具合を一つ一つ直す。普通の歩行をしながら、3歩目で上に跳ぶような稽古。バスケットの時のように。左踵をできるだけ上げないようにして右足で踏みきる。その後は上への意識を前方に変えて、踏み込んでいく。急ぐとどうしても歩幅を広げてしまったり、上に跳びそうになるので、はじめは歩幅はそんなに広げずに練習せよ、と。あと竹刀を握る左手の位置を少し上にあげる方がいいと指摘される。「今の左手の位置だと、踏み込んで打ちこむ時に竹刀の振りかぶりが少し必要になるやろ。もう少し高めに左手を設定すると、剣先をそんなに上げんでも打突できるんや。」やってみると確かにそう。まだ十分剣先を操れないが、言われることは確か。
10分ほどのオリヴィエとのマンツーマンでの稽古だった。バレースクールのスタジオで、ステップを踏んだりしていると何だか可笑しかったが、本当にためになった。
「月曜の道場でもやんで、この稽古」と。もしかしてモルモットだった訳、僕って(笑)???