腰痛

今日は昨年度分の有休を1日使用。それでもまだ4月まで有効な去年分の有休が9.5日残っている。使い切れないだろうなぁ・・・。
250km離れたフランスの田舎町に向かう。同僚から紹介された整体師の診察を受けるため。この人は有名らしく、診察は半年以上待たなければならない。彼女は足・歩行に問題を抱えていたのだが、2,3回の診察・治療で改善。もう診察は必要ないということで、彼女の予約分を譲ってもらった。彼女の場合には内臓の旋回の存在が指摘され、それを矯正して身体の歪みを直した。診察直後、そしてそれからの薬の服用期間に体調は一旦悪化したが、最終的には明らかに他人から分かる跛行は消失した。僕の問題点は腰痛。指圧では一時的には良くなったものの完治はせず。その時には左腎臓に異常を指摘。さてどうなるか。
電車では接続が悪いので車で行くことにする。2,3時間で到着するはずだが、余裕を持って5時間前に出発。時間の余裕があったらフランスで食材を仕入れようとも考えた。いい天気。レマン湖を挟んで見るフランス側のアルプスがくっきり。眼前にどっしりとそしてゴツゴツとした壮大な山肌が拡がる。ジュネーブ以遠のフランスの道は初めてなのでスピードも抑え気味に走る。山道がしばらく続いた後、平地の道に。ここまで来るとあたり一面は畑ばかり。山は遠くにしか見えない。フランスが農業国であることが良く分かる。目的地に一番近いVillefranche-sur-Saôneには予定通り到着。しかしそこから道に迷う。途中、農作業しているおっちゃんや道すがらの人に尋ねながら4時間かかって目的地に。でも待合にいる人の予約時間を聞くと1時間程遅れているよう。諦めて本を読みながら待つ。
診察室はいたってシンプル。診察用のベッドがあるだけ。症状を尋ねられた後、ズボンを脱げというので用意していた短パンに着替えてベッドに横になる。口腔内の診察の後、ピエールは後頸筋を左右の手でずっと探りながらいろいろ質問してくる(彼はフランス語がメインなので、僕が困っているときには奥さんが英語で通訳してくれる)。これまでの病歴、ワクチン歴、兄弟の数。特に兄弟の数、堕胎された兄弟の数を執拗に尋ねてくる。その間僕は軽く腹に手をおいて目を閉じて答えるだけ。彼が「此処が痛いのか?」と左腰部に注目したのは5分ほどたった後。左足をひねり「これで痛くないか?」と聞いた後、再び頸に集中。そしておもむろに「私の指を目で追え」と眼球運動検査をする。「なっ。」と傍らの奥さんに向かって言い、奥さんが頷く。「両目に手を当てなさい」といい、また後頸筋をチェック。「外して。」そしてまたチェック。
分かったのか、奥さんが棚からリップクリームのケースより一回り小さい中に何か入っている筒を幾つか取り出し、彼と相談しながら胸の上に置いていく。その間も彼の手は頸にある。7つの筒を選び置いたところで「座りなさい」と。ベッド上に腰かけた後、7つの筒を握った彼の手が胸の前にくる。ちょっと身体が動いたかもしれん、と思ったより早く「変わったやろ」といわれる。
「なんかようわからんねんけど」
「じゃあ立ってみ」
立つ。彼の奥さん、娘も頷いている。何、何???また彼の手が胸の前に来る。ここで彼らがまた頷く。重心がずれたように感じた。彼らは此処まで何も言っていない。
「分かった?」
「ちょっと重心が右に寄ったように思ったんやけど・・・」
「そうや」
「でも自分の感覚だけやから、鏡か何かの前で自分で確認させて。」
「いいよ」
鏡はなかったのでガラスの入った書棚の前に立ち、同じことを繰り返す。僅かだが明らかに右に重心が移動。左足底への荷重が減ったのも確認した。
「何で?」
「これは身体の70%を占める『水の記憶』というものがあり、このケースに入っている物質がそれを元の状態に戻しているんです。」
奥さんへの指示していた言葉から微量金属などのように感じていたので、
「微量金属か何かがケースの中に入っているの?」
「そう。」
「兄弟の中での生まれた順番、堕胎数にこだわってたけど?」
「一番先に生まれてきた子は2,3世代前の祖父母からの遺伝の影響を強く受けます。そして堕胎が行われた後に生まれた子には、母体の堕胎の影響が身体に生じるのです。」
「僕の腰痛の原因は何?」
「右目です。多分気づいているだろうけど、右目の眼球運動が左目とうまく協調していないでしょ。それが長く続くと身体の軸が歪みます。立った時に常に左に重心がずれています。このケースの中の物を計7週間服用すれば変わりますよ、両足に均等に体重がかかるようになります」
「今、剣道をしているんだけど続けていい? 友人の時には重いものを持ってはいけないとか、運動はダメ、とか言われたそうなんだけど」
「大丈夫です。続けて下さい。こう見えても私は空手をやってました。黒帯です。ここでは道場がないので今はやってませんが。どの武道も重心が大切でしょ。治療後はきっと動きが変わったことが実感できますよ。」
処方箋をもらって診察終了。小一時間。30分の診察と聞いていたので延長。95ユーロ払って帰る。もう薄暗くなっている。高速を思いっきり飛ばし、2時間強で家に到着。
面白かった。いわゆる代替医療の1つである「ホメオパシー」。「由緒正しいニセ科学」とも言われている。確かにそうかもしれない。
でも今回は2点確かなことがある。彼が私の右目の眼球運動に着目した点。しかもずっと目を閉じていたにも関わらず。普段の生活には全く支障はなく視力も左よりいいくらいなのだが、左眼が利き目。両眼視が苦手。
もう一つは重心の移動。彼らが言及する前に僅かの変化に気づいていたこと。
処方箋の内容はやはり微量金属。しかも凄い希釈倍率。副作用もないとのこと。ニセ科学と言われているが、いっちょトライしてもいいかな、とも思う。