ちいさい秋みつけた

風邪でダウン。
寝っ放しの1日。
時折起きて仕事して、またちょっと寝て、音を聞いて、また寝て…という感じ。
 

 
実は別のヴィデオを上げようとしたけど、こっちにした。
中谷美紀は好きだ。
歌は確かに上手くない。
でも声の使い方が好きだ。
この曲ではウイスパーボイスにもならない途絶え途絶えの声を使ってる。
ザラツいた彼女の声。
落葉を踏みしめた時のカサッという感じ。

 
音楽を聞く時にはやはり言葉は入ってこない自分だが、
彼女の声によりこの歌詞は耳に入ってきた。
とても綺麗な詩だ。
でもすごく寂しい。
でも綺麗だ。
  
だれかさんが だれかさんが
だれかさんが みつけた
ちいさい秋 ちいさい秋
ちいさい秋 みつけた
めかくし鬼さん 手のなる方へ
すましたお耳に かすかにしみた
よんでる口ぶえ もずの声
ちいさい秋 ちいさい秋
ちいさい秋 みつけた
  
だれかさんが だれかさんが
だれかさんが みつけた
ちいさい秋 ちいさい秋
ちいさい秋 みつけた
おへやは北向き くもりのガラス
うつろな目の色 とかしたミルク
わずかなすきから 秋の風
ちいさい秋 ちいさい秋
ちいさい秋 みつけた
   
だれかさんが だれかさんが
だれかさんが みつけた
ちいさい秋 ちいさい秋
ちいさい秋 みつけた
むかしの むかしの 風見の鳥の
ぼやけたとさかに はぜの葉ひとつ
はぜの葉赤くて 入日色
ちいさい秋 ちいさい秋
ちいさい秋 みつけた


1番では鬼ごっこをしている。
自分は鬼。
周りには複数の人。
友を追おうと、遊びに興じているのだが、
その時にふっと耳にはいるもずの声。
人の声ではなく…。
そこに感じる一抹の孤独感。
 
2番ではうちに帰ってくる。
北向きの部屋、くもったガラス。
飲もうとしているのは溶かしたスキムミルク。
その白が映るうつろな瞳。
モノクロームな世界に閉ざされた自分。
 
3番ではまた外に出る。
あるのは風見鶏、紅くなったはぜの葉だけ。
夕日にも似した強烈な赤。
 
1番から3番に行くに従って、どんどん人の体温が消えていき、最後には無くなってしまう。
そしてそこに共通しているのは「風」(1番では声を伝え、耳を刺激するものとして存在)。
「だれかさん」って、僕はつまりは「風」なんじゃないかと思う。
人間が滅びようとも変わらずに移り変わる季節…。
 
いい詩だと思う。
でも本当に切ない。 
 
童謡などって1番の歌詞しか覚えていない事が多いけど、
詩全体を見直してみたら見方が全く変わってしまう事もあるんだろうな、
と改めて思う。