終わってしまった

終わってしまった…。
Lausanneでの剣道セミナー。
こんなに終わったのが寂しく感じたセミナーは初めて。
地元で行われ、先生方の御世話をすることもあったので余計にそう感じてしまうのかもしれないが、
本当にアットホームな感じのセミナーだったし、もてなしだったと思う。
これまでのいろんな経験から、
当初は日本人の先生方には距離を置いておこうとしていた自分だった。
でも、先生方の送り迎えを少しし、バーでビールを飲み、剣道仲間の家でバーベキューをし、
道場でパーティーをしていく中で
いろいろと話をし、みんなの態度を見ていると、
「福本先生っ!」「枝美先生っ!」と20−30年にかけてスイスの剣道家がどうして先生方を慕うか、
その理由の一端が分かった。
どの人にもきちんと向き合い、丁寧に、そして真摯に接している。
どの人も流しはしない。
それはBernの伊藤先生やセミナーでお会いするスイスの先生方にも当てはまる。
きちんと人を育てることを考える姿勢がスイス剣道家に伝えられているのだと思う。
確かに海外の剣道として、技術的には日本から見れば全然レベルは低いのかもしれない。
でも底に流れている剣道に必要な人間形成だとか、相手のことを慮る気持ちとか、
そういったものは強く感じた。
送り迎えの車中やホテルのバーで飲んで話をすることが長かった僕は果報者だったと思う。
拷問にも思える稽古でも、裏に多くの愛情が隠されていること、
参加者にそれと気付かせないうちにヘビーな稽古をさせるというテクニックとか、
そういったものも教えていただいた。 

稽古後、またみんなでビールを飲んで送別会をした。
フローレンスの車に荷物を積み込み、いざ別れる時、本当にグッと込み上げてきた。
みんな本当に寂しそうだった。
「じゃあ、また逢いましょう」
その言葉を信じて、Genève行きの車を見送った。