BLKC 34回目

今日は珍しく、オリヴィエ自らが面なしの基本稽古から指導。木曜は子供ちゃんが参加することも一因だろうが、チューリッヒで先週あった剣道の集中トレーニングの影響かもしれない。
で、オリヴィエが課したのが単なる面打ち。でもこれが本当に拷問だった。何本も何本も基本面打ちを行い、打突後の態勢を保っておき、その間にオリヴィエが1人1人チェックして回り、指導を加えていく。エリックとかマットとかでもオリヴィエから注意点を指導されている。僕には「左手をもう少し押すように」という指導だった。左手をいつもより押すと気持ち悪い感じに剣先が上がってしまうので、本当にいいのだろうか、と気にはなる。一人ひとりの指導で、計30人以上ということで、腕を上げておかないといけない時間が非常に長い。皆竹刀を下ろそうか下ろすまいか迷いながら苦笑している。本当にかつてない拷問だった。

その後の稽古の中では巻き落としが久しぶりに復活。コツがつかめないし、数回前のオリヴィエとの地稽古で一度巻き落としを決められ、竹刀を落されたことがあった。これは苦手な項目で、仲間との練習でもなかなかうまくいかない。でもラッキーなことに3人目にオリヴィエとあたる。もう少し竹刀を前に出すようにすればきちんとできる、ということを言われた。そして次に巻き落としに対する応じる技に移る。この時もオリヴィエと。オリヴィエの巻き落としに素直に従っているだけなのに、スムーズに応じる面打ちができる。オリヴィエも「そうそう、打突はそれでええ!」と。でもその際に「跳ぶな!前に足を出す感じにするんや」、とも。どうしても足を上に上げてしまう。これは以前からの癖。子供時代の剣道の癖、ということ。なかなか直らない。

その後、打ちこみ稽古、地稽古、掛稽古に結構な時間が割かれた。地稽古では今日は有段者2人、それ以外5人と当たる。有段者の一人ティムには全く歯が立たない。出端籠手で一矢報いることができたのがせめてもの救い。途中上段に構えられるし、どう対処してよいか全く分からなかった。もう一人の有段者はサミ。彼には結構気でも攻めていけたような気がする。非有段者が相手の時にはリラックスして、攻めの稽古をしたり、返し技をしたり、いろいろ技を試すことができたように思う。ここ2回の地稽古はちょっと力みが抜けたような稽古になってきたようにも思うが、気のせいかなぁ?
稽古後、オリヴィエから、
「子供時代の剣道を消去するのはなかなか大変やろ。自分の仕事の時の心構えを考えてみ。ある意味、その分野では自分が専門家、としてやっている訳や。それをそのまま剣道に反映させるとな、大局に立った落ち着いた心持ちで相手に対峙できるやろ。剣道と日常生活は繋がっている、そういうこっちゃ。」
「後は、目の前の上達にあまり捕われないこと。長い先で得られる上達の方が大切やで。俺もチャンピオンになろうというのが目標ではなかったんや。ハーモニーを持った剣道(この意味は分かりにくかった)をしようと心がけてるだけなんや。君もここは焦らず、落ち着いて対処し、「スローモーションかな」と思うような返し技をやってみ。そして徐々に徐々にスピードを上げていく。確かに何千本も打たれることになるやろ。でもな、今の君にはそれが必要なんや。防具で全てがプロテクトされてる。恐れんな!打たれることを恐れず、心をしっかり保つ、ということを今しっかり学ぶように」
と。久しぶりにオリヴィエとした長話はやっぱりためになった。あと、「ここで剣道をはじめた時と全然違う剣道になってるで。多分自分では気づいてないやろうけど、凄く上達してる」、
と言ってくれたのは本当に嬉しかった。よっぽど前はひどかったんやろな。
でも最近「どつぼ」にハマり、悪戦苦闘している身には本当に有難い言葉だった。